百万塔

　奈良時代に作られた法隆寺の百万塔です。大きな欠損が無く所々に白い顔料が残っている状態です。作成されてから千年以上の時を経ていますので塔の保存状態や「無垢浄光大陀羅尼経」が内部に残っているか等によって買取価格が変わります。

百万塔

　百万塔は764年の恵美押勝の乱の後、荒れた社会を鎮めるために称徳天皇の勅願によってつくられました。その名の通り100万という膨大な数が制作され、770年に完成したといわれています。塔の大きさは、高さ21.5cm、基底部10.5cmほど。また基底部分には、年月日や人名と思われる墨書があります。ろくろを使って1つ1つ木を削ってつくられており、その多くは表面が白く塗装されています。まれに深緑や朱色などのものもあるのですが、長い時間を経て顔料が剥離してしまっていることも多いでしょう。そして、塔身部の中には「無垢浄光大陀羅尼経」という5cmほどのお経の一部が記された巻物が保存されています。この巻物は、現存する世界で最も古い印刷物といわれていますが、具体的な印刷方法（木版が使われていたのか？銅版が使われていたのか？等）が解明されておらず、多くの謎が残されています。また、1万基ごとに高さ48cmほどの「七重小塔」が100基つくられ、さらに10万基ごとに「十三重小塔」が10基制作されました。完成後は、東大寺や興福寺、薬師寺などの十大寺に10万基ずつ安置されていましたが、今では法隆寺に伝わった4万数千基が残っているのみとされています。いずれも、日本の文化遺産の1つとして知られています。大変貴重なものではあるのですが、過去には寺院に多額の寄付をした民間人に分配された例もあることから、人知れず旧家に保存され、近年になって発見された例もあります。

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