一足先に春を「さいたま市大宮盆栽美術館」

 我が家は、いくつかの観葉植物と共に生活しているのですが今まで“盆栽”というものに触れたことがありません。長い間気になっていた盆栽の魅力に触れるべく今回は「さいたま市大宮盆栽美術館」に足を運んでまいりました。

世界初、公立の盆栽美術館

 さいたま市大宮盆栽美術館は、2010年に開館した埼玉県さいたま市にある世界初公立の盆栽美術館です。旧髙木盆栽美術館のコレクション等、盆栽の名品だけでなく、盆栽を植えるための盆器や水石という鑑賞するための石、さらに盆栽が描かれる浮世絵や盆栽に関する歴史資料を収集・公開しています。近隣には盆栽村と呼ばれるものもあり、多種多様な盆栽を扱う盆栽園が軒を連ねています。

盆栽美術館入口1

ロビーにはさっそく春を感じる盆栽!

 落ち着いた印象の入口。美術館としては決して広い建物ではありませんが、ゆったりとしたロビー。館内に入るとさっそく美しい盆栽が出迎えてくれました。

 桃色の花びらに鮮やかな色合いの蕾が愛らしい盆栽。幹も一見華奢な印象ですが、よく見ると逞しい木肌。やはり小さくても“樹木”なのだと感じさせます。盆器のデザインも春が訪れるワクワク感を感じさせます。

コレクションギャラリーとは?

 ロビーの隣にあるコレクションギャラリーには、全部で3つのスペースがあります。まず、盆栽に関わりのある盆器、水石、絵画資料、そして歴史・民俗資料などを紹介するプロローグ、そしてギャラリー・座敷飾りの2つのスペースには全部で8席の盆栽を週替わりで展示しています。

盆器と水石の魅力

 ゆったりとした和の雰囲気で盆栽や盆栽ゆかりの品々を鑑賞することができるコレクションギャラリー。盆栽が引き立つ座敷飾りのスペースは言わずもがな素晴らしく、この空間を観て心が落ち着く自分自身に、日本人であることをひしひしと感じます。

今回気になったのは「粉彩花卉文丸鉢」という盆器。明るい色調で華やか、大変可愛らしいこの作品に一体どんな樹が合うのだろう?と思いました。かなり目を惹く魅力的な盆器故に、盆栽よりも目立ってしまうのでは…?盆栽のプロフェッショナルに問うてみたくなりました。

もう1つは水石です。水石とは、石を鑑賞しながら壮大な自然を感じる日本独特の文化のこと。歴史は古く、大変奥深い芸術といえるもので難しくとらえてしまう方もいらっしゃるかもしれません。でも、石がもつ艶々としていたり荒々しかったりする質感、瑞々さを感じる色味を眺めていると、不思議とさまざまな想像が湧いてきます。そして心の中で大自然を冒険したような気持ちに。今回出品されていたのは「梓川雪渓石」という水石。小さいサイズの中に雄大な景色が詰め込まれているようで、人が足を踏み入れないどこか遠い山々の頂を思い起こさせます。

選りすぐりの盆栽が60点!盆栽庭園

 建物中央にある盆栽庭園には約60点の盆栽が展示されています。こちらでは、時期によって異なる盆栽を観ることができるそう。

盆栽庭園2

水をたたえている風情のある場所や、ほっと一息つけそうなあづまやもあります。

“北斎”という名の盆栽 

 お庭に入り、まず目に留まった盆栽は<真柏 北斎>。北斎とは、かの葛飾北斎のことでしょうか。

真柏 北斎

そして葛飾北斎といえば浮世絵の「富岳三十六景 神奈川沖浪裏」。今にも鉢から飛び出しそうな躍動感!

北斎2

画像中央に映っているのが、<真柏 北斎>です。

実際に少し離れて横から鑑賞すると、飛び出しているようにしか見えません。<真柏 北斎>が植えられているのは丸い鉢ですが、鉢は四角いものがあったり、高さがあったりとさまざまな種類があります。もし、鉢が四角だったらもう少し大人しい印象になるかもしれません。

推定樹齢500年の迫力

次に気になったのは<五葉松 うず潮>です。

五葉松は、マツ科マツ属の樹木で日本固有の松。なんとこちらは推定樹齢500年!迫力ある枝ぶりは、まさにうず潮。逞しい松の葉たちは勢いの良い水しぶきにもみえてきます。

五葉松 うず潮

幹の白い部分は枯れて白骨化したものだそう。茶色の幹の色味とのコントラストが素敵。まるで、しぶきの白と底知れぬ海を思わせます。それにしても松の葉の緑は美しいです。上向きに放射状に開いている葉の様子に元気をもらえそうです。

樹齢35年はまだ若手? 

100年や200年の盆栽たちが目に入る中、樹齢35年の盆栽。<五葉松 石付き>です。

五葉松 石付き

35年はまだまだ若い。と思ってしまいそうですが、私達人間の寿命の半分です。育てた方が20歳から始めたとして、現在55歳。こう考えると人生の一大プロジェクトのように思えます。でも、ややこじんまりとした様子はやはり可愛らしさを感じてしまいます。石の方も自然の過酷さが感じられ、美しいだけでなく迫力があります。全体的に盆器に植えられたものとはまた違う、野性的な魅力がありますね。

グッズや盆栽販売スペースも  

 ロビーにはオリジナル・グッズを扱う小さな販売スペースがあります。私は盆栽がモダンにデザインされた手ぬぐいを購入しました。また、美術館には盆栽販売スペースも。

販売スペース

来館した時間帯には閉まっていましたが、盆栽が欲しくなってしまった!という気持ちにも答えてくれます。

盆栽美術館を訪れて

 盆栽美術館は、普段盆栽に親しんでいないという方でも楽しめる場所だと思います。先述では触れませんでしたが、「盆栽クロニクル-年代記-ビジュアル年表でたどる1300年の物語」という展示も行われており、能や茶道のように長い歴史をもつ日本文化“盆栽”をより味わうための手助けとなりました。それにしても1300年の歴史を持つとは本当に驚きです。盆栽を鑑賞する際には、美術館公式HPなどで盆栽の基本を少し学んでおくと、より楽しめるように思います。私自身、知識が無いままHPにある<盆栽の見方><樹種と形態><盆栽の技>を拝読しました。こちらを読むことで、盆栽の素晴らしさを自分なりに楽しむことができました。3月~4月には春を感じられる盆栽が楽しむことができます。

  庭園の様子

慌ただしい毎日、ほっと一息つくことのできる「さいたま市大宮盆栽美術館」。ぜひ近隣の盆栽園とともに訪れてみてくださいね。

<さいたま市大宮盆栽美術館>
【歴史と文化】盆栽クロニクル-年代記-「大宮盆栽村100周年に向けた特集展示」
期間:令和5年2月4日(土)~4月5日(水)
開館時間:(3月~10月)午前9時~午後4時30分 ※入館は午後4時まで
(11月~2月)午前9時~午後4時 ※入館は午後3時30分まで
休館日:木曜日(祝日の場合は開館) 年末年始、臨時休館日あり
場所:企画展示室
住所:〒331-0804 埼玉県さいたま市北区土呂町2-24-3
電話:048-780-2091
FAX:048-668-2323
URL:https://www.bonsai-art-museum.jp
アクセス:JR宇都宮線「土呂駅」下車 東口より徒歩5分
東武アーバンパークライン「大宮公園駅」下車 徒歩10分


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