表参道アート巡り~明治神宮ミュージアム・エスパス ルイ・ヴィトン東京・GYRE GALLERY~
原宿駅から表参道駅界隈は、貴重な浮世絵を公開する太田記念美術館、現代アートで有名なワタリウム美術館、東洋の美術品をコレクションしている根津美術館など有名な美術館が多数存在します。また、画廊やギャラリーも多く最新のアート事情を知りたいという方にも人気の場所でもあります。今回は原宿駅~表参道駅までのメインストリートを散策しながらアートを楽しむことにしました。
アートスポットならではの楽しみ
アートに触れたいと感じたときに足を運ぶ表参道近辺ですが、原宿駅からほど近い明治神宮内にある「明治神宮ミュージアム」には訪れたことがありませんでした。
今回、表参道駅の近くのギャラリーに気になる写真家の展示が開催されるので、以前から興味のあった「明治神宮ミュージアム」「GYRE GALLERY」「エスパス ルイ・ヴィトン東京」の三カ所を巡りました。
令和元年に完成した“明治神宮ミュージアム”
渋谷区にある明治神宮といえば明治天皇と昭憲皇太后を御祭神としている神社で、初詣では日本一の参拝者数をほこります。その敷地内にある明治神宮ミュージアムは令和元年に建てられた比較的新しい施設。明治天皇と昭憲皇太后おゆかりの品々が陳列されているミュージアムの建物は70平方メートルの杜の中にあります。ゆっくりと自然の中を歩くうちに心が落ち着き、鑑賞気分が自然と整います。
建物は隈研吾氏の設計
広く開放的な2階建ての建物は、建築家・隈研吾氏の設計。ゆったりとした空間であることが外観からも感じられます。新しい建物なだけあって、モダンで清潔感ただよう印象。
1階メインロビーの大きなガラス窓からは、爽やかな杜の風景。
四季折々の景観が味わえそうです。2階からも杜や参道が望めます。
吉祥の意匠
今回の企画展テーマは「寿ぐ美」。明治神宮が所蔵する吉祥の意味が込められた装束や美術工芸品を紹介するという内容のものでした。印象に残ったのは装束やテーブル掛けといった衣類に関する品々。繊細な文様が丁寧に施され、生地はため息が出る程の美しさ。明治の時代といえば、海外の慣習が皇室や市民の間に多く取り入れられた時期です。十二単でなく、洋装(ドレス)の展示もありましたが、日本の職人技が活かされたもので大変興味深く感じました。また、個人的に心に残ったのは「ボンボニエール」。これは、ボンボン(砂糖菓子)を入れる菓子器で、皇室のお祝い事の贈り物として使われています。展示されていたのは、手の平に納まるほどのサイズで、可愛らしさや遊び心、そして気品も感じられ心躍るひとときとなりました。
冒険家でもあり写真家・石川直樹さん <GYRE GALLERYにて>
石川直樹さんは、世界のさまざまな場所に足を運び、自分の出会った風景を写真に残しているアーティストです。2022年は、春から秋にかけて8000mを超える5つの山の頂上に挑んだとのこと。その中でも、今回はマナスル、カンチェンジュンガ、ダウラギリという3つの山で撮影された作品が展示されていました。
写真に映る山々は、圧倒的な美しさだけでなく壮大な故の淡々とした自然の過酷さを感じました。でも、世界のどこかにこの場所が本当にあるのだと想像するだけで、妙な安心感が生まれるのは自分でも不思議です。会場では実際のクライミング映像も流れており、じっと見入ってしまいました。
ちなみに、石川さんの手掛ける著書も大変興味深く、ほぼ読ませて頂いています。展覧会限定のポスターを購入したかったのですが、なんと売り切れ!
心と記憶に響くヴォルフガング・ティルマンスさんの作品<エスパス ルイ・ヴィトン東京にて>
ヴォルフガング・ティルマンスさんは、2000年に世界的に権威のある芸術賞・ターナー賞を受賞しています。彼の作品は、見上げるように大きいサイズからスナップ写真のような小さいサイズのものまで、展示方法もラフに壁に貼り付けられたものや額装されたものなどさまざま。また、暗室で現像するだけでなくコピー機で拡大印刷する等あらゆる手法で制作されています。
初めてティルマンスさんの作品を観たときに、その自由さと誰もがどこかで共感できるような繊細さ、時に強いメッセージなどさまざまな魅力を感じました。恐らく観る人の気持ちや状況によって異なる印象をもつことができる作品なのではないでしょうか。今回の展示では日常の儚さを無性に感じました。恐らく私自身が心に抱える何かを反映したのだと思います。日本では彼の展示が催されるのは数年に一度ですが、開催される度に足を運ぶアーティストの1人です。
表参道のアート巡り
今回はおよそ半日かけて美術館やギャラリーを巡りました。バスや電車を使わなくても複数の場所を回れるのはアートスポットならではですよね。明治神宮ミュージアムでは日本の伝統的美術品の鑑賞。一方ギャラリーでは、近代のアートとして分類される写真作品の企画展。一見異なる世界観に思えますが、どちらも作品の作り手側の妥協は一切ありません。それは作品や展示空間から漂う雰囲気で伝わってきます。この先も時や場所を超えて鑑賞者の胸を打つのだろうと思います。徒歩圏内には他にも美術館やギャラリーがたくさんあります。訪れる際には、どんな展覧会が開催されているのか事前にチェックしてみると良いかもしれませんね。
原宿・表参道界隈は、有名ブランド店などの店舗が多く立ち並ぶ場所ですが、美術館やギャラリーも多く存在します。さまざまなアートに触れてみたいという方にはおすすめの場所です。
■明治神宮ミュージアム
「寿ぐ美―吉祥の意匠をとおして―」
会期:前期令和4年12月24日(土)~令和5年3月5日(日)
後期令和5年3月25日(土)~6月25日(日)
開館時間:10:00~16:30(入館は閉館30分前まで)
住所:東京都渋谷区代々木神園町1-1
休館日:木曜日(1/5,2/23,5/4,6/15は開館)
アクセス:JR山手線・東京メトロ千代田線・東京メトロ副都心線 原宿明治神宮前駅から徒歩1分、JR山手線・JR総武線・都営大江戸線 代々木駅から徒歩5分、小田急線 参宮橋駅から徒歩3分、東京メトロ副都心線 北参道駅から徒歩5分
■「GYRE GALLERY
Naoki Ishikawa Photo Exhibition
Dhaulagiri / Kangchenjunga / Manaslu
会期:2022年12月17日(土)〜2023年2月26日(日)
開廊時間:11:00-20:00
住所:東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3F
問合せ:0570-05-6990 ナビダイヤル(11:00-18:00)
休館日:不定休 (12月31日[土]、2023 年1月1日[日]は休館、1月2日[月]は13:00開廊、2月20日[月]は休館)
アクセス:東京メトロ千代田線・副都心線明治神宮前駅5番出口より徒歩4分、東京メトロ半蔵門線・千代田線・銀座線表参道駅A1出口より徒歩5分、JR原宿駅表参道口より徒歩6分
■エスパス ルイ・ヴィトン東京
ヴォルフガング・ティルマンス「Moments of life」
会期:2023年2月2日 – 6月11日
開館時間:11:00-19:00
住所:東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン 表参道ビル 7F
休館日はルイ・ヴィトン表参道店に準じます。
アクセス:東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線 表参道駅 A1出口より徒歩約3分、東京メトロ千代田線・副都心線 明治神宮前(原宿)駅4番出口より徒歩約5分、JR山手線 原宿駅 表参道口より徒歩約10分
※上記の情報は変更の可能性もあります。足をお運びの際には事前に