自然を満喫。散策にも、美術鑑賞にも!東京都庭園美術館

 

 東京都庭園美術館をご存じでしょうか?その名の通り、美しい「庭園」をもつことで知られており、JR目黒駅から徒歩7分ほどの距離にあります。庭園の散策が目的で訪れる方も多く、過ごしやすい季節になると週末は非常に賑わいます。

東京都庭園美術館とは? 

 東京都庭園美術館は、1933年につくられた本館と2014年に完成した新館に分かれており、本館は1947年までは朝香宮家の邸宅として使われていました。そして、1983年に美術館として生まれ変わり、2015年には重要文化財に指定されるなど、まさに建物自体が「歴史ある芸術作品」といっても過言ではありません。来館されている方も作品だけでなく、建物内部をじっくり鑑賞しているような印象です。

東京都庭園美術館 建物外観

動物の館?「アニマルズin朝香宮邸」

 かつて宮邸だった建物では、ウサギやシェパード、ドーベルマン、カナリヤや熱帯魚などの動物を多数飼育されていたようです。また、邸宅内には生き物モチーフの装飾が多いことに気が付きます。

暖房器具

今回の展覧会では「アニマルズin朝香宮邸」ということで動物をテーマとした作品にスポットを当て、紹介する試みのようです。

アール・デコ様式の建造物 

 和洋折衷デザインの館内は、ため息が出るほど素晴らしい空間。当時の雰囲気を色濃く残しています。左右対称で直線を多く用いるアール・デコ様式を採用しており、華やかながらすっきりとした雰囲気で、鑑賞者は背を正される心持ちです。

館内の様子1

そのような雰囲気の中に動物モチーフの品々が置かれていることで、どこかほっと心が安らぎますね。

豪華な来客用お手洗い

美術館入口すぐの来客用のお手洗い。

来客用のお手洗い

当時の優雅な空気感を残します。こちらは鑑賞のみで使用不可です。

ロイヤル・コペンハーゲン製造の愛らしいペンギン!

白磁でつくられた<香水塔>の横を抜けると、名門ロイヤル・コペンハーゲン製造のペンギンが。1902年に制作された作品のようです。

ペンギン

動物のもつ有機的なフォルムが見事に表現されています。陶磁器の質感の魅力を十二分に発揮しながら、今にも動き出しそうなほどの正確な造形力には脱帽です。

客室の壁に油彩画が…

先程のペンギンが展示されていた部屋は応接室として使われていた空間で、東西南北すべての壁面には朝香宮邸の内装を多く手掛けたアンリ・ラパンの油彩画で埋め尽くされています。

アンリ・ラパン壁面

淡いグリーンで描かれたのどかな風景が広がる小部屋は、訪れた方々もさぞ感激されたことでしょう。

大食堂の暖炉

大食堂の暖炉にもため息の出るような意匠が。

大食堂

大食堂暖炉

暖炉の上にあるこちらの壁画が先述したアンリ・ラパン作です。

広々とした美しい泉と瑞々しい果物や花々が描かれており、異世界の宮殿を思わせます。先程の油彩画の壁画でも感じたことですが、建物内にいながら広い空間を感じさせるデザインが多く見受けられます。

現代作家の作品も 

現代作家さんの作品も展示されています。

佐々木愛さん作品1

佐々木愛さんの<クジャク>は、素朴で親しみやすい作品。豪華な宮邸内で出会うと、鑑賞者の心を和ませてくれます。

佐々木愛さん作品2

 こちらも佐々木さんの作品<鳥たちが見た夢>です。漆喰で作成されたもののようですね。朝香宮邸の室内装飾は、通常デザイナーや建築家と依頼者が直接相談するような形式ではなく、フランス側との往復書簡によって進められたという経緯があるようです。それを“往復書簡”によって築かれた理想郷のようだとイメージされたことから生まれた作品とのこと。白色で今にも消え入りそうな色合い、実物は素材と光の具合によって輝くような存在感が感じられます。まさしく理想郷です。

フランスの美が集結。ルネ・ラリックからフランソワ・ポンポンまで!

庭園美術館の所蔵作品の中から20世紀前半に制作されたものを集めた展示室がありました。ちょうどアール・デコが大流行していた時代ですね。

ヌーヴェル・ヴァリアシオンによる<20枚の図版による75の装飾モチーフ>に目が留まりました。

ヌーヴェル・ヴァリアシオン

大胆で力強い色使い、ヨーロッパにとっての異国趣味が現れているように思えます。どれも素晴らしいデザインで代わる代わる部屋に飾りたくなります。他にも室内装飾のためのスケッチやデザイン画が展示されており、どれもがそれぞれ芸術作品なのでは。と思えるほど洗練されたものでした。

室内装飾として、工芸品も多数展示されていました。ガラス工芸家のルネ・ラリックは華やかで幻想的な宝飾品、ガラス作品で広く知られていますが、色を用いない作品や単色のガラス作品も多く手掛けています。

蛇

こちらはルネ・ラリックの花瓶<蛇>。

蛇の体がもつ迫力ある量感、鱗、恐ろしい顔にはっとします。ほの暗いブラウンカラーは、身を隠しながら生きる蛇の生態も彷彿させますね。花瓶とのことですが、どのような花を生けたらよろしいのでしょうか?生ける花によって、蛇の表情がまったく違うものにありそうです。

フランソワ・ポンポン

近代彫刻の巨匠、フランソワ・ポンポンの有名作品<シロクマ>をセーブル磁器製陶所が模したものです。当時632点制作されたうちの1つのようですね。

フランソワ・ポンポン

作品リストを拝見すると、材質は「無釉硬質磁器」と記されています。まっさらで、無機質ともいえる硬質磁器の白さを用いて、シロクマの柔らかい白色を表現しています。素晴らしい出来栄えに驚きます。<シロクマ>の他にも、カバやほろほろ鳥、オラン・ウータンなどのフランソワ・ポンポンの動物作品も多数展示されています。

美術館のもう一つの顔である庭園

庭園は、芝庭、西洋庭園、日本庭園に分かれています。日本庭園には茶室もあり、屋外作品も設置されています。屋外作品をアスレチック代わりに、無邪気に遊ぶ子どもたちも微笑ましいですね。

安田侃 作品

ビニールシートを持参してくつろぐ方もいます。季節によってさまざまな植物を楽しめます。また、自由に手に取ることのできるGARDEN MAPには作品や花々の解説が分かりやすく記されており、大変便利です。

 宮邸内の品々は、こちらに紹介しきれないほど素晴らしいものが多かったです。ルネ・ラリックのガラス作品は多数鑑賞することができましたし、制作者・デザイナーは、マリー・ローランサン(椅子)、アントワーヌ・ブールデル(ポスター)など豪華な顔ぶれ。不思議と美術館のホワイトキューブといわれる展示室(東京都庭園美術館も現在は美術館ではありますが。)で拝見するよりも、生き生きとしているように感じるものもありました。ランプやグラス、花瓶など日々の生活に使われるために生まれた作品たちは、家という空間の中であるからこそ発揮できる魅力もあるのかもしれませんね。

館内の様子2

東京都庭園美術館は、広大な庭園をもつ都内では珍しい美術館です。季節の移り変わりを感じながら、芸術鑑賞も楽しめるので是非訪れてみてはいかがでしょうか。

 

<建物公開2026 アニマルズ in 朝香宮邸>
会期:2026年4月11日(土) – 6月14日(日)
開館時間:10時 〜 18時 (入館は閉館の30分前まで)
休館日:毎週月曜日(5月4日は開館、5月7日(木)は休館)
住所:〒108-0071 東京都港区白金台5-21-9
電話:050-5541-8600 (ハローダイヤル)
アクセス:公共交通機関の場合
JR山手線「目黒駅」東口/東急目黒線「目黒駅」正面口より徒歩7分
都営三田線・東京メトロ南北線「白金台駅」1番出口より徒歩6分
白金台駅のエレベーターは2番出口にあります
※足をお運びの際は、事前に美術館HPをご確認ください。


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