ミリオンセラー絵本「大ピンチ図鑑」の世界に。
東京都立川市には、子どもも大人も楽しめる「PLAY! MUSEUM」という施設があります。こちらで子どもに大人気の書籍「大ピンチ図鑑」に関連した「大ピンチ図鑑展」という催しが開かれており、チケット購入も困難なほど大盛況のようです。今回は甥を連れて、こちらの施設を訪れました。
子どもも大人も楽しめるPLAY! MUSEUM
PLAY! MUSEUMは東京都立川市にある2020年にスタートした施設です。美術館と子どもの遊び場を中心とした複合文化施設で、絵とことばがテーマの美術館ということにはなっていますが、取り扱うジャンルは幅広く、アートのほか絵本・マンガに関する本格的な展覧会を企画しています。鑑賞者が参加できるイベントや、五感を使って楽しめるような展示も多く、普段アートになかなか触れる機会がない…という方や、子どもを連れて美術館はハードルが高い…という方でも気軽に楽しむことができます。
大ピンチ図鑑展とは
今回の展覧会は、現在人気の絵本作家・鈴木のりたけさんによる、子どもたちが日常の生活の中で遭遇するピンチをさまざまに紹介した「大ピンチずかん」(小学館)がもととなっています。シリーズ累計270万部を突破したミリオンセラーであり、チケットも完全事前予約制(土日の予約となると、チケット購入はかなり困難なほど。)となっています。本展は、作家自らが考案・制作した「ピンチ・エンターテイメント」ということで、来場者は絵本の世界を巡るように鑑賞できます。過去に巡回した横浜会場では4万人超の動員数を記録。SNSでも大変話題を呼びました。

本の内容を疑似体験その①
会場内では、絵本の中に登場する“ピンチ”が「みるピンチ」「なるピンチ」「かんがえるピンチ」「とびこむピンチ」の4つに分類されていました。
こちらは「みるピンチ」にカテゴライズされた<大ピンチ倒れそうなケーキ>です。

今にも倒れそうなケーキは子ども心に、不安になってしまう状況なのでしょう。大ピンチが巨大化して、不安な気持ちをむしろたのしんでみる!というコンセプトのもと、“巨大アイス”や“こぼれる牛乳”などもありました。
本の内容を疑似体験その②
本物そっくりのフンに驚愕です。フンを避けながら丸い枠の中を進んで次の展示室に進みますが、まさしくピンチを疑似体験できます。

作家の言葉
展覧会会場のあちらこちらの壁面に、作家の言葉が展示されています。

私が作家さん独自の哲学、インタビューに興味を持っていることは、当ブログで何度も申し上げていますが、今回も「こんなに面白い発想を生み出す方は、どんなことを考えているのだろう」と気になっていました。
作家さんの考えを知り、共感できることを発見することで、鑑賞者自身の哲学も発見できるのではと思うのです。また、会場内には大ピンチずかんシリーズをゆっくりと読むことのできるスペースも設けられていました。
文学的にも面白い<大ピンチバー>
こちらは、特に興味深く感じた作品。かんがえるピンチ<大ピンチバー>です。

「だれが」「どこで」「なにを」「どうした」という4種類の言葉を組み合わせて、自分だけの変なピンチをつくろう!という企画でした。文学的にもとても面白い手法で、子どもも大人も笑いながら、時に驚きながら文章を作成していました。
「Kポップアイドルが」「とろろめかぶを」「コンビニで」「背中にかついだ」など、思わず吹き出してしまうような文も多数ありました。
鈴木のりたけさんのアイデアが光る!
こちらは作家のアイデアが光る<大ピンチわりばし>です。

わりばしを100本割って、きれいな順にならべたという試みです。わりばしがうまく割れなかった!というピンチに由来される企画のようですね。普段何気なく使い、破棄してしまう。そして話題にも滅多に上らない「わりばし」に着目する鈴木のりたけさんの発想に脱帽です。

<大ピンチへんなふく>では、母が変な服を買ってきたというピンチから生まれた作品。色鮮やかな写真が壁一面に掲示されています。Tシャツ型にくり抜かれたカードを用いて、「へんなふく」を鑑賞者自ら制作するようです。画像をご覧頂ければ分かるかと思いますが、驚くような写真も多く、ついついカードを重ねてみたくなりますね。
人気シリーズ「しごとば」の原画
絵本展などの出版物系の展覧会ならお馴染みの原画も多く公開されていました。こちらは「しごとば」シリーズの原画。各職業のプロフェッショナルを取材してつくりあげたという鈴木のりたけさんの人気シリーズの1つです。

こちらのシリーズの絵本は、以前拝見させて頂いたことがあるのですが、やはり本物は絵具のディテールが違います。アクリルガッシュなので、比較的画面はフラットなのですが、やはりそれでも臨場感がありますね。
デビュー作<ケチャップマン>
こちらは作家デビュー作品<ケチャップマン>です。

身体がケチャップでできたケチャップマンという非常にシュールな主人公です。有名作家のデビュー作というものは、やはり原点ともいえるべきもので、こだわりと同時に挑戦する気概も感じさせます。大まかなあらすじが紹介されていたのですが、鈴木のりたけさんの作品は、笑いの中にも心温まる様な仕掛けがある気がします。ユーモアとポジティブの関係性を常に意識されているのかなと感じました。
作家本人と交流できる?
制作・取材の様子を記録したコーナーや、来館者からの質問に答えているコーナーもありました。「500円もらったら何をしますか?」「宇宙人に遭遇したらどうしますか?」など面白い質問に対する回答についつい見入ってしまいます。

作家のコメント
作品を制作するにあたってのメモやスケッチなど貴重な資料も紹介していました。面白かったのは、それら過去の資料に対して、現在の鈴木さんが当時の心境などを解説していること。

存命の作家だからこそできる興味深い試みです。
いつもとは少し異なる、どちらかというと子ども向けの展覧会では?と思いましたが、鈴木のりたけさんの「鑑賞者を楽しませたい、笑わせたい!」という試みが伝わる非常に好感のもてる展覧会でした。もちろん作品に対する情熱や妥協を許さぬ姿勢に溢れ、これからどのような作品を生み出すのだろう?と注目したい作家さんになりました。
今大人気の絵本の展覧会。自由でユニークで、作家さんの個性が全開の展覧会でした。
鈴木のりたけ「大ピンチ展!プラス」
PLAY! MUSEUM
住所:〒190-0014 東京都立川市緑町3-1 GREEN SPRINGS W3棟
電話:MUSEUM(2F):042-518-9625
期間:2025年10月8日(水)~12月20日(土)会期延長
時間:10:00-17:00(土日祝は18:00まで/入場は閉館の30分前まで)
休館日:原則無休(展示の入替、年末年始をのぞく)
アクセス:JR立川駅北口・多摩モノレール立川北駅(国営昭和記念公園方面)より徒歩約10分
※会期は既に終了しています。







