定期的に足を運びたい!銀座のアート・ギャラリー
銀座界隈は、最先端の文化が集まり、散策するだけでも気分転換になりますね。私も時間ができると、ふらっと訪れます。今回は銀座駅からのアクセスもよく、足を運びやすいアート関連の施設をいくつかご紹介したいと思います
現存する日本最古のギャラリー
資生堂ギャラリーは、銀座駅に降り立った際には必ず足を運ぶといっても過言ではないほど、楽しみにしている場所です。1919年にスタートした現存する日本最古の画廊としても知られ、毎回最先端の芸術活動を紹介しています。
しなやかでスマート。「髙田 安規子・政子 Perspectives この世界の捉え方」
今回、開催されていたのは「髙田 安規子・政子 Perspectives この世界の捉え方」という企画展示。彼女たちは一卵性の双子のユニットとして活動するアーティストで身近な素材を用いながら、空間や時間の「スケール(尺度)」をテーマに制作を行っておられるようです。こちらは<Timepiece>という作品。

解説によると、長い人間の歴史を砂や石に置き換えて表現された作品のようです。割れた砂時計は、時間の流れを停止させたような印象も受けます。作品に使用されている御影石は、地球の表層を構成する代表的な岩石であることも鑑賞者にインスピレーションを与えてくれるような仕掛けですね。

砂鉄が用いられたこの作品は<Magnetic field>です。かつてイギリスの物理学者ウィリアム・ギルバートが「地球は大きな磁石である」と提唱したことに影響を受け、制作されたようです。幼少時に方位磁針の仕組みを知り、大変感銘を受けたことを思い出しました。“磁石”に対して感じた不思議さを、歳を重ねるにつれて意識することはなくなりましたが、小さいころの驚きや感動を思い出させてくれました。しかも、とても美しい方法で。
詩的な表現と科学に裏付けされたコンセプト
メインともいえるスペースでは、天井の高さを生かした巨大な作品<Electromagnetic>と、インパクトのある<Spectrum>が、まず目を惹きます。
写真左の<Electromagnetic>は、パッチワークで作られたものです。電場と磁場が影響し合う模式図を、何世代も受け継がれる手仕事「キルト」を素材としていることが長い人類の営みというものを彷彿させます。

内向的・プライベートな印象を与えるベッド。写真右の<Spectrum>は、童話の中に出てくるような一見可愛らしい作品です。マトリョーシカのような入れ子構造なのでしょうか。カバーの色は、人間の可視光の範囲を示し、大きさに比例するようにレッド→パープルへと色のエネルギーの大きさを表現しています。今回の展示は科学的な解説と情緒的な作風の相違が魅力ですね。
次は、アンティークの風合いが素敵なポストカードに、植物の葉がスタンプされた、詩的な作品<Can‘t see the forest for the leaves>です。

画像上部に見える作品です。日本語に訳すると「木を見て森を見ず」ということわざで、“物事の細部に気を取られて全体・本質を見失うこと”という意味合いですが、本質を見失うリスクとともに、細部の美しさを忘れてはならない。というメッセージかのような意味合いをも感じます。
想像力の限界とその可能性
作品タイトル<Memory color>は、人が記憶する色=記憶色のことです。しかし、記憶色は実際の色とは異なることもままあることなのだとか。20世紀初頭まで製造されていた手彩色の絵葉書は、白黒写真に職人さんが手で色を付けていたようで、想像で彩色を施していたこともあったようです。作品では、人間以外の生き物からは周囲の色がどう見えているのか?という再現を試みています。
しかし、タイトルが示す通り、私達人間が他の生き物の見え方を完璧に捉えることが不可能であることを暗に伝えているようですね。

アート書籍とともに作品を愛でる
次に足を運んだのは銀座蔦屋書店。
こちらの書店は、本を通してアートと日本文化を繋ぐということをコンセプトにさまざまなイベントを行っています。アート関連の書籍はかなり充実していて、店内の気になる本をチェックしていると、あっというまに時間が過ぎていきます。店内では「田中福男 Glass Echoes of Silence(静けさの響き)」という展覧会が開催されていました。彼は「インサイドアウト」と呼ばれる高度な技術を用いて、ガラス作品を制作しています。

独特な色彩で、繊細な模様を描いています。どうやってつくられるのか見当も付かないほど、本当に細やか。花の名前が付けられた幻想的で詩的な作品も多かったのですが、遊び心が感じられるこのような作品も。

作家さんの公開制作
銀座蔦屋書店のFOAM CONTEMPORARYでは、「赤松晃年 個展 旅の情景-C58 ティアラ21号-」が開催されていました。展示会場では作家さんが公開制作を行っておりました。

日本のアニメ・漫画・ゲームなどの現代文化を独自に昇華し、軽やかな質感と繊細な筆致で女性を描いています。白いアウトラインを用いて非現実的に描かれる女性とは対照的に、背景には現代的な風景が広がります。

現代絵画的な視点でさまざまな解釈があるかと思いますが、彼の経歴や作品を調べてみると、画家として生きる紆余曲折は、時代に関係なく存在するものなのだと考えさせられます。日本を代表する現代美術家・村上隆さんも以前彼の個展に際して寄稿されたということで、そちらも拝見させて頂きました。着飾ることのない村上隆さんの言葉には非常に説得力があります。
良品計画の理念を伝える“ATELIER MUJI”

無印良品といえば、我々の世代にも若い方々にも非常に人気があり、もはや日本ならではの文化を昇華したブランドともいえますね。株式会社良品計画がつくる無印良品の理念と本を結びつける「MUJI BOOKS」、同社主催の展覧会にて「民藝」との共通項を取り上げるなど、その活動からは近代文化をも担うという高い意識が伺えます。無印良品銀座店6FにあるATELIER MUJIでは「無印良品の企業広告2003-2025 -なにもないがすべてある-が開催されていました。各地にある店舗に足を踏み入れると、目に飛び込んでくる無印良品の広告。定期的に入れ替えられていますが、毎回はっとするような驚きと納得、説得力がありますね。

簡素な言葉と写真に見入っていると、周囲の喧騒から離れ、静かな時間が流れます。
今回紹介させて頂いたのは、銀座で体験できるアート関連施設の本当に一部。訪れる際には、どのような展覧会・イベントが開催されているのかぜひ確認してみてはいかがでしょうか。きっと、心に残る作品に出会えることと思います。
文化の最先端を知ることのできる銀座。ぜひ、足を運んでみてくださいね。
「髙田安規子・政子 Perspectives この世界の捉え方」
資生堂ギャラリー
住所:〒104-0061 東京都中央区銀座 8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下 1階
TEL:03 -3572 -3901
会期:2025年8月26日(火)~12月7日(日)
休廊日:毎週月曜休 (月曜日が祝日にあたる場合も休館)
時間:平日 11:00~19:00 日・祝 11:00~18:00
アクセス:地下鉄銀座駅 A2出口から徒歩4分
地下鉄新橋駅 1番出口から徒歩4分
JR新橋駅 銀座口から徒歩5分
「田中福男 展示 Glass Echoes of Silence(静けさの響き)」
アート 銀座 蔦屋書店 インフォメーションカウンター前
会期:2025年11月29日(土) ~12月19日(金)
「赤松晃年 個展 旅の情景-C58 ティアラ21号-」
アート FOAM CONTEMPORARY
会期:2025年1月22日(土) ~12月17日(水)
※イベント・スペースのオープン時間は事前にご確認ください。
銀座蔦屋書店
住所:〒104-0061 東京都中央区銀座6丁目10-1 GINZA SIX 6Fお問合わせ
TEL:03-3575ー7755
アクセス:■地下鉄 銀座駅/A3出口/徒歩2分 東銀座駅/A1出口/徒歩3分
JR 有楽町駅/徒歩約10分 新橋駅/徒歩約10分
「無印良品の企業広告 2003-2025 展-なにもないがすべてがある-」
ATELIER MUJI GINZA
住所:〒104-0061 東京都中央区銀座3-3-5 無印良品 銀座 6F
会期:2025年11月28日(金) ~12月14日(日)
時間:11:00 ~ 21:00
アクセス:東京メトロ銀座線・丸ノ内線・日比谷線「銀座」駅 B4出口 徒歩3分
東京メトロ有楽町線「銀座一丁目」駅5番出口 徒歩3分
JR山手線「有楽町」駅 中央口 徒歩5分
※会期は終了しています。







