恐竜絵画が集結!上野の森美術館企画展「特別展 恐竜図鑑 失われた世界の想像/創造」

 恐竜好きな私は、博物館で“恐竜”の名がつく企画展が開催される度にできる限り足を運びます。しかし、今回はなんと博物館ではなく美術館主催!これは是非観たいと足を運びました。

上野の森美術館「特別展 恐竜図鑑 失われた世界の想像/創造」とは?

 上野の森美術館は、さまざまな博物館・美術館がひしめく台東区にある美術館で1972年に開館した施設です。個人的にはあまり訪れる機会が無かった美術館なのですが、今回開催されている「特別展 恐竜図鑑 失われた世界の想像/創造」に“恐竜絵画=パレオアート”が多数展示されるということで心躍らせながら訪れました。各時代の最新研究を基に描かれた恐竜の復元図、当時の流行を反映した絵画、近年のものでは玩具や現代美術のモチーフとして登場した恐竜などが展示され、見応え抜群かと思われます。

上野の森美術館企画展「特別展 恐竜図鑑 失われた世界の想像/創造」入口

展覧会の所々に嬉しい演出が!

 今回は、子どもも多数訪れることを想定した展覧会でした。クイズやゲームなど楽しめるイベントだけでなく、大人にも嬉しい映像を用いた演出がありました。「作品に手を触れないでください。」というメッセージにも遊び心を感じます。

楽しい演出

1800年代に描かれた博物画たち

 1800年中期に描かれた博物画たちは、どこか現実離れした空想上の動物のような印象を受けます。現在に比べると古生物に関する研究はまだまだ解明されていない部分が多かったからだとも言えますが、見たこともない古生物への恐怖、理解できない野蛮なものという認識が表れているようにも思えます。 

1800年代博物画

 

ユニークな晩餐会            

 古生物を実物大で立体化する史上初の試みが行われた1853年。その公開前のプレイベントとして、イグアノドンの模型の内部で晩餐会が行われたそう。とても遊び心にあふれたイベントですよね!

晩餐会

晩餐会への招待状も素朴なデザインでお洒落です。

招待状

過去に行われた博物学関連のイベントを紹介する展示や礼拝堂で化石が復元された様子を記録した絵画なども展示されていました。

パレオアートの巨匠!ナイト&ブリアン

 古生物絵画の黄金時代といわれる1900年代に、恐竜たちの姿をビジュアル化し、典型的な恐竜のイメージを世界中に普及させたアメリカの動物画家チャールズ・Rナイトとチェコスロバキアの画家ズデニュク・ブリアン。どちらも古生物画家の巨匠ですが、作風はまったく異なる点が面白いです。ナイトは、素朴で時に牧歌的な空気も漂う絵を手掛けています。

ナイト

一方でブリアンは恐竜の皮膚感など古生物の触感を意識して作品を仕上げているように感じました。

ブリアン

時代や画家の考え方によってさまざまなイメージがつくられるのですね。

空軍として働いた後に動物画家となった二―ヴ・パーカー

 イギリスの二―ヴ・パーカーも古典的な恐竜像を確立した動物画家です。パーカーは空軍として働いた後にこの世界に足を踏み入れたそう。パーカーの作品は、色彩がシンプルなためか硬派な雰囲気で素敵です。

パーカー

恐竜のトレーディングカード?

ハンブルクのチョコレート会社で1902年頃から16年間製造されていた恐竜などの古生物を印刷したトレーディングカードです。

トレーディングカード1

現在このようなカードが発売されていたなら是非とも欲しい1品です。

トレーディングカード2

よく見ると、脚が奇妙な形をしていて時代の流れを感じます。

立体模型たち

 絵画と比べて立体模型の恐竜の創作物は写真撮影禁止の物が多い印象でしたが、どれも古生物や古い歴史に思いを巡らせてしまうものばかりでした。現代の目からすると「?」となるような模型も、当時の制作者は工夫と研究を重ねていたものだと想像すると胸が熱くなります。

立体模型

恐竜のもつイメージを現代アートに昇華

 現代アート×恐竜という珍しいテーマで企画されたコーナーもありました。こちらは篠原愛さんという現在注目されている画家さんの作品です。

現代アート

美しい少女と奇怪な生き物が混在している絵画を描いている方で、こちらの作品でも朽ち果てているような恐竜らしき生き物が見えます。恐竜の持つ暴力性や滅びてしまったものへの畏れを彷彿させます。

可愛すぎる恐竜玩具たちに会えました

今回思いがけなく嬉しかった存在は恐竜をモデルにした玩具たち。ひょうきんでどこか滑稽なところがあり、思わず微笑んでしまいます。玩具の造形や色彩にも時代性が出ていますね。

13玩具

 改めて博物画を興味深いと感じることができた展覧会でした。化石や標本と違い、展示物は本物ではないけれど、当時解明された情報をできる限り駆使し、想像力を働かせ“本物”を追い求めた軌跡の数々を鑑賞する価値は十分にあります。現在最新と思われている研究でも10年後20年後は否定されているということも当然あり得ますし、科学の歴史・学問の歴史については考えれば考えるほど感慨深いものです。今回展示されていた以外の博物画もぜひ鑑賞してみたいものです。

 大好きな恐竜が盛りだくさんで、本当に楽しめた展覧会でした。上野にはたくさんの美術館がありますので、気になる展覧会を1日かけて複数訪ねてみてもいいかもしれませんね。

 

<上野の森美術館>
【特別展 恐竜図鑑 失われた世界の想像/創造】
住所:110-0007 東京都台東区上野公園1-2
会期:2023年5月31日(水)~7月22日(土)会期中無休
開館時間:10:00 ~ 17:00(土日祝は 9:30 ~ 17:00)※入場は閉館の 30 分前まで
アクセス:JR上野駅公園口より徒歩3分
     東京メトロ・京成電鉄 上野駅より徒歩5分
URL: https://www.ueno-mori.org/
※会期は終了しています。


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