海がすぐそばにある美術館「アレック・ソスGathered Leaves展」

はじめに                     

 アーティストの名前は知っているし、作品も知っているのだけれど、なかなか展覧会で本物の作品を観る縁に恵まれない…。というのは美術館巡りをしていると一度は考えることではないでしょうか。今回は以前から気になっていた「アレック・ソス」という写真家の展覧会が少し遠方の地で開催されるということで、1日がかりで出かけてきました!

アレック・ソスの写真 は不思議な心地よさを感じる

アレック展示室入口 アレック・ソスは、世界的に有名なアメリカ出身の写真家です。美術や写真に関する雑誌や書籍にも度々紹介されており、以前から彼の写真がとても気になっていました。一目でこれと分かるような、分かりやすい作品スタイルがある訳ではないのですが「この写真、なんだか気になるな。」「眺めていて心地よいな。」と思うとアレック・ソスの作品だったということが何回かあったので、いつか本物を観てみたいと思っていました。言い方は乱暴なのですが、一見何の変哲もない素朴な写真、そしてどこはかとなく物悲しさを感じる不思議なイメージというのが作品の印象です。

 

神奈川県葉山町へ!                                              

 アレック・ソス展が開催されているのは、神奈川県葉山町にある神奈川近代美術館(葉山館)です。こちらは以前からぜひ足を運んでみたいと思っていた美術館の1つ。別館として、鎌倉館もあるそうでいつか行ってみたいなと思います。美術館は自宅から片道2時間以上かかるので1日がかりの旅に。神奈川県の葉山町というと、御用邸のある町として知られていますよね。海沿いにお洒落な住宅やお店が並ぶとても素敵なところでした。時間が許すのであれば、一泊程してゆっくり訪ねてみたかったですね。美術館からも綺麗な海が見えるので作品と自然、2つが楽しめる贅沢な場所でした。

アレック美術館入り口アレック海を臨む

想像力をフルに使う。ミシシッピ川のシリーズ

アレック・ミシシッピ1 美術館に足を踏み入れ、最初の部屋にあった作品は「SLEEPING BY THE MISSISSIPPI」のシリーズ。ミシシッピ川とは北アメリカ大陸を流れる全長3779km、国内で2番目に長い川のこと。こちらのシリーズは、ミシシッピ川そのものを写していないのにも関わらず、ミシシッピ川のもつ歴史、ひいてはアメリカの文化を等身大で感じられるような存在感でした。

 

心に残ったのは、タイトルと写真の組み合わせ。タイトルの言葉があっさりと端的な故に、写真そのものから様々な想像ができたり、情緒あふれる写真でも少し冷静な気分で鑑賞することが出来たり。言葉の力はすごいなと感じました。ミシシッピ川が写真のどこにも写っていなくとも、被写体のすぐ側にミシシッピ川が絶え間なく流れているイメージが湧いてきます。鑑賞後には、自分の頭の中だけのミシシッピ川がぼんやりと浮かぶよう。

アレック・ミシシッピ2

見応え抜群、写真を“体感”するナイアガラシリーズ

 ナイアガラの滝といえばアメリカの有名な観光地の1つですよね。アメリカでは、ハネムーンのほか自殺の名所としても知られているようです…。2つ目の部屋に展示されていたのはこのナイアガラを取り上げた「NIAGARA」(ナイアガラ)シリーズ。

アレック・ナイアガラ1

 

アレック・ナイアガラ2

先程のミシシッピ川のシリーズよりも大きな写真が壁面にかけられています。近くに立つと、ナイアガラの滝を思わせるような迫力のあるサイズ感!何か底知れない大きなものと対峙しているかのような印象を受けます。こちらもナイアガラ自体を写すのではなく、ナイアガラを取り巻くものたちを写真に収めるというコンセプト。

 

2つのタオルという作品。花柄のベット・カバーに白鳥のような、ハートのような佇まいが可愛い。ナイアガラを自国の誇るべき地として意識しているアメリカの人々の目に、これらの作品はどのように映るのでしょうか。

隠れ家的なミュージアム・ショップ

 こぢんまりとしたスペースのミュージアムショップ。品数は少ないものの、よく見ると絶妙な商品セレクトでユーモアや品の良さを感じました。自家用車でなければ、バスで訪問する人も多い立地なので、短時間でさっと回れるのが良いですね。私自身、最寄駅からバスで訪れたのですが、展覧会をじっくり鑑賞しているとバスの時間を気にしがち。でもミュージアムショップも立ち寄りたい…!という状況だったので助かりました。

アレック・ミュージアムショップ

展覧会を観て

 まず、思ったのは「ちょうどよい展覧会」だったということ。作品点数やテーマの数など、私にとって本当に良いボリュームで、小さな休憩を挟みながら集中力を途切れさせず鑑賞することができました。展覧会によっては作品点数が多く疲れてしまったり、反対に「もう少し観てみたい。」と感じて物足りなかったり。アレック・ソスの作品は好きで、もっと観てみたい気持ちはあるのですが、しっかり作品と向き合える時間や体力は限られていると思うのです。そのバランスが素晴らしかった!また、普段は都内の美術館に訪問することが多いのですが、今回のような自然豊かな場所で美術鑑賞することはとても気持ちの良いことだと改めて感じました。近代美術館からは海も臨めますし、街中も都内とはまた違う洗練された落ち着きのある場所でした。こちらの美術館で、背伸びせずに作品を楽しめたという方も多いのではないでしょうか。時間に余裕のある方は自然散策をして過ごすというのも素敵ですよね。

アレック・展覧会を観て1

アレック・展覧会を観て2

さいごに 

 自分の気になっていたアーティストが美術館で個展を開催するというのは、なかなか巡ってこないチャンスです。特に、以前から足を運んでみたかった美術館で開催されるというのは幸運!とても充実した美術館訪問でした。

<アレック・ソス Gathered Leaves>
会期:    2022年6月25日(土)〜2022年10月10日(月・祝)
会場:    神奈川県立近代美術館 葉山
住所:    神奈川県三浦郡葉山町一色2208-1
時間:    9:30〜17:00 (最終入場時間 16:30)
休館日: 月曜日 (7月18日、9月19日、 10月10日を除く)
 ※足をお運びの際には、事前にご確認ください。


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