現存する巨匠の1人、ゲルハルト・リヒター展

はじめに 

東京国立近代美術館 入口写真 東京国立近代美術館で、今年の6月からはじまった「ゲルハルト・リヒター展」。去年からこちらで開催されるという情報があり、絶対に行こう!と決めていました。ネット上でも大変話題になっている様子。日本では16年ぶりのリヒターの個展ですが、開催場所は日本が世界に誇る東京国立近代美術館ということで、かなり大規模な展覧会になっています。リヒターは、時に難解といわれる現代美術の作家として知られていますが、彼の絵が持つパワーは現代美術をあまり詳しくないという方でも心に響くものがあるかと思います。

 

生誕90年、画業60年 ゲルハルト・リヒターとは 

フォト・ペインティング

アブストラクト・ペインティング

 ゲルハルト・リヒターは間違いなく世界の美術史に名を残していく作家といえます。リヒターの大きな偉業は、アートの世界に自由な表現方法が次々と生まれ、伝統的技法である絵画が危機に陥っていた時代に「絵画の可能性」を追求したこと。また、個人的に思うのは油彩画や写真、鏡、デジタルプリント、ガラスなど様々な素材を使ったいくつかの作品スタイルをもっていることです。どの作品も根底にあるテーマは一貫しているのですが、成功した1つの方法に甘んじない探求心からはアートに対する計り知れない熱意を感じます。今回の展覧会ではリヒター生誕90年、画業60年ということを大きく宣伝していることから、彼の生涯手掛けてきた作品たちを網羅できるような構成になっていると思われます。見どころ満載でしょう。

新作の「ビルケナウ」人類の歴史に一石を投じた作品        

ビルケナウ 2014年に制作された近年の作品で“アウシュビッツ=ビルケナウ”に真正面から取り組んだものです。一見すると抽象絵画のようなのですが、なんとこの絵画の下にはアウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所で撮られた4枚の写真が描かれているそう。そう聞くと、絵の具の光沢や質感がなんだか重く感じられ、私自身の絵へのイメージが変化していることに気が付きます。日々、楽しく快楽的なものに時間や思考をとらわれがちですが、過去の歴史に向き合う時間も人生には必要だと思わせてくれます。言葉では語りつくせない人類の歴史をアートで表現するというリヒターの覚悟が感じられました。

 

本物をついに!「オイル・オン・フォト」               

オイル・オン・フォト ネットや画集でみた以来、ずっと本物を目にしたかった「オイル・オン・フォト」シリーズ。ポストカードも欲しい!と意気込んでいました。こちらは、1980年代から手掛けている作品で、人物や風景が写された写真に油彩が施されています。写真なので1枚1枚のサイズは小さいのですが、リヒターの繊細で鋭い感覚が濃縮されたような素晴らしいものでした。絵具をのせることで鑑賞者側が写真に対して色々な想像ができたり、また写真自体も絵具の色にさまざまなイメージを与えているという関係性が面白かったです。

 

ストリップ・ペインティング眩暈をさそう「ストリップ・ペインティング」  

 全長10メートルの「ストリップ・ペインティング」という作品。絵画をスキャンしたデジタル画像を縦に2等分しつづけて色の帯をつくり、コピーして横方向に繋げていったというものです。本物は、ネット上で見るのとは全く別物でした。近づいてみればみるほど眩暈がする不思議な感覚になります。

 

アラジン??

アラジン 出品作品リストをみて“アラジン”という名を見かけた時に「あの有名な物語のアラジンのこと?だとしたら、なぜ?」と気になりました。リヒターの他のシリーズ名は端的に分かりやすい名称がついていることが多いからです。先に答えてしまうと、まさにあの物語の「アラジン」のことでした。ガラス板の上にさまざまな色をのせた抽象画のような作品だったのですが、これはラッカーの塗料を板の上にのせて混ぜ、ガラス板を押し付けるという手順で制作されたそう。幻想的で想像を誘うような雰囲気がまさに「アラジン」の物語に似ていることから名づけられたようです。詩的でとても素敵なネーミング! 

グッズの完成度が高い!ミュージアムショップ  

東京国立近代美術館 ショップ1東京国立近代美術館 ショップ2

 国内外からとても人気の高いリヒター。ミュージアムショップもさぞかし売れ行きが良い事だろうと予想していました。それを見越してか、グッズの完成度が素晴らしかったです。特におすすめしたいのはポストカードです。よくあるポストカードの印刷と異なり、紙面の端まできっちり作品イメージが収まっている心憎い仕様に。画集のデザインもなかなかスマート。訪れた日が平日だったからか、レジに行列ができることはありませんでした。

展覧会を観て    

東京国立近代美術館 会場1東京国立近代美術館 会場2 今回の展覧会は、色がひしめき合う「カラーチャート」、迫力ある「アブストラクト・ペインティング」、巨大な鏡を用いた作品など実にさまざまな作品を鑑賞することができました。会場で感じたのは、作品が壁面にある鏡に映り込んでいたり、色彩あふれる作品の隣に一見無機質とも思える「グレイ・ペインティング」があったりと作品と作品の関係性が面白かったこと。また、鑑賞者が作品に映り込むことで次々と表情も変わっていきます。リヒター唯一の映像作品などもあり、本当に充実した内容のものでした。2度3度と訪れてみたいと感じます。

さいごに

 ゲルハルト・リヒターの画業が網羅できる大変ボリュームのある展覧会でした。リヒターが気になる方はもちろん、「現代美術は苦手」という方も楽しめる内容だと思います。美術が好きな方であれば一見の価値ありですよ。

 

「ゲルハルト・リヒター展」
会場:東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
会期:2022年6月7日(火)~ 2022年10月2日(日)
休館日:月曜日(ただし7月18日、9月19日は開館)、7月19日(火)、9月20日(火)
開館時間:10:00-17:00(金曜・土曜は10:00-20:00)
*入館は閉館30分前まで
アクセス:東京メトロ東西線竹橋駅 1b出口より徒歩3分
〒102-8322 千代田区北の丸公園3-1
※変更の可能性もありますので、足をお運びの際には事前にご確認ください。


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